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オリジナル&オーダーメイド木工
ワークサポートひかり

なんでも簡単に手に入る今の時代だからこそ
木のぬくもりを伝えたい。
廃材に再び生命を与える「KOPPA」プロジェクト

「端材」という価値との出会い

「精神障がい者家族会ひかり」として平成10年に発足したワークサポートひかり。現在はNPO法人として、障がいを抱える人びとが社会と関わるためのさまざまなプロジェクトを運営しています。清掃作業やパン販売、リサイクル資源収集販売など、多岐にわたるプロジェクトの中で、とくに高い評価を受けているのが木工製品の製造・販売です。

丸太から用材を切り出したあとに廃材となって残る”木っ端”を集めて木工製品に仕上げる、その名も「KOPPA」プロジェクト。デザイナー真喜志奈美氏とのコラボレーションにより、デザイン性を高めたスツールやプランター、ベンチをつくっています。

「KOPPA」プロジェクトは、企業や行政、デザイナーなどと、障がいのある人との協働で生まれた魅力的なしごと・はたらき方に注目する「GoodJob!Award2015」で入賞。

ひかりの参加者が手がけたスツールは、渋谷ヒカリエで行われたGoodJob!展に展示され、多くの人びとの目に触れました。

「設立当時、何から始めればいいのかわからずにいたときに、市内の木工所を訪ね、いらない木材を譲ってほしいとお願いしたことがはじまりでした」と話すのは、ワークサポートひかり代表の松田さんです。

「木工所からは毎日たくさんの端材が出ており、それらを処理するのにコストと時間がかかります。そういった、本来捨てられるはずの廃材を再利用することで、環境にやさしく、低コストで製品を作る、というコンセプトが生まれました」

製品とコミュニケーションのデザイン性を高めて

その後、捨てられていた端材を使うだけでなく、釘や接着剤の使用もできる限り少なくしてコストを抑えることで、一般的な製品よりも大きく価格を下げての製品化に成功。「釘や接着剤を少なくしても耐久性が落ちないよう、入念にテストを行いました。スツールやベンチは、平面加重120キロにも耐えられるようにしています」

シンプルな材料で、できる限り自然のままの木の魅力を生かした木工製品は、地元糸満のファーマーズマーケットや直売イベントで販売され、支持を広げていきました。その一方で、販路の開拓やプロモーションなど、参加者20人の小さな事業所でできることには限界もありました。そんなとき、デザイナー真喜志奈美氏と出会い、ひかりの木工プロジェクトは「KOPPA」として大きな進化を遂げたのです。

「それまで作っていた製品が驚くほどハイセンスになり、売り方も変わりました。手書きのチラシを配って歩くだけだった広報戦略も大きく変わり、きれいで高級感のあるパンフレットができたときは感動しましたね」

いいモノを作っても、知ってもらえなくては買ってもらうこともない。そんな当たり前のことに気付かされたといいます。
売り場でパンフレットを手に取ったり、ウェブサイトを見て購入を決めるお客さんが現れ、メディアに取り上げられる機会も増えるなど、デザインの効果は明らかです。
「製品のデザインやコミュニケーションツールの進化に加え、水産高校の学生さんや地域の人たちが積極的に宣伝してくれることもあって、おかげさまで売り上げが伸びています。真喜志さんをはじめとするいろいろな方々のサポートで、わたしたちは仕事を続けていけるのです」

デジタルゲームに慣れた子供たちに
木のおもちゃの魅力を伝える

はじめのうちはスツールやプランターのみだった製品の種類も徐々に増えていき、黒壇を使用した高級感のある箸入れやチャーギのペーパーナイフなど、個性的な品もそろいます。

お香を楽しむための釣台など、オリジナル製品のオーダーも請けているそう。
「少量のオーダーやオリジナル製品のオーダーにこたえられる木工業者は意外に少ないんです。有名な木工作家の作品は高価で一般の人にはなかなか手が出せないし、大量生産の製品では味気ない。ちょうど真ん中の位置にわたしたちがいるのだと思います」と松田さんは話します。

新製品の開発にも積極的で、今力を入れている製品はかわいらしい木の卵。スツールなどをつくる中でどうしても出てくる小さな木材を、てのひらサイズの小さな卵型に加工して、贈り物やインテリアとして販売しています。ほんの小さなあまりものの木材さえもゴミにしたくないという、松田さんたちの徹底した木への愛情が伝わる品です。

木の卵は、沖縄県の工芸品や民芸品などが多く集まる産業まつりでは即完売。木でできた動物のシリーズも、子供たちに好評でした。

デジタルゲームやインターネットで遊ぶのが当たり前になっている現代の子供たちにとって、木の香りや手触りを楽しめるおもちゃは貴重なもの。自然に親しみ、感謝の気持ちや環境保護への意識を高められるきっかけとしても、広く注目されています。

「夏に大型複合施設やイベント会場に置かれているプールに、ビニールボールが浮かんでますよね?あのボールの代わりになる木の卵をつくって、木のプールをつくりたいんです」松田さんは、目を輝かせて今後の目標を語ってくれました。

Information

障がい者就労支援事業所
ワークサポートひかり
住所 901-0362 糸満市真栄里870
電話 098-994-1765
Facebook https://www.facebook.com/KOPPA-875601502526449/
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