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南の島のビン詰めやさん
ビン food

おうちで手づくり
沖縄産中心・産地明記のビン詰め食品
まるでハンドクラフトのように

ジンジャーエールに生姜が入っていなかった

ビン foodの飯塚のぞみさんと恵子さんは、ビン詰めフードを手づくりし、直営店café ‘eju(イージュ)’やネットショップ、卸先のカフェや生活雑貨店・ベーカリーなどを通して販売しています。

つくり手は、飯塚さんと恵子さんのふたり。今では週に3日、専用のキッチンで火の前に立ち、30種類もの商品を20の卸先に流通させていますが、コトの起こりは、おうちで自分たちが飲むドリンクを手づくりし始めたことでした。

「移住してきて、沖縄の気候にはコーラが合うからコーラを飲んでいたら、健康食の知識がある友達から『ジンジャーエールのほうがからだにいいからジンジャーエールにしたら?』って言われて。それで何も考えず市販のものを飲んでいて、あるときふと原材料を見たら、ジンジャーエールなのに生姜が入っていなかったの!」

本物をつくってみようと思い立ち、鍋ひとつでつくってみると美味しかったことから、黒糖ジンジャーシロップづくりが習慣に。滅菌にも問題がないこともわかり、許可をとって「もとぶ手づくり市」などのイベントでジンジャーエールやさんとして販売を始めました。

そうこうするうちに、黒糖ジンジャーシロップをつくるときに出る生姜の甘煮を「もったいない」と思うように。そこで、ミルクジャムやはちみつジャムに変身させ、お友達に配り始めます。するとそこに、「生姜のお味噌のレシピを考えたよ」と恵子さんが参戦。ジャム、シロップ、お味噌のラインナップでビン foodという屋号を立ち上げ、イベントでのビン詰め販売が始まりました。

人同士つながって、広がる流通

20以上の卸先は、ビン foodの公式ウェブサイトで確認できますが、どちらも個性や美意識を感じさせるお店ばかり。「自分が食べたいものと、身の回りの人に『こんなのほしい』って言われたものをつくる。」「すでによのなかにある、安価なビン詰めと同じものをつくってもしかたがない。」「材料にこだわる。」商品に現れた飯塚さんの考え方に共鳴したお店から声がかかり、ひとつひとつ増えていきました。

「こちらから置いてくださいって言って置いてもらっても売れないんです。でも、売り手の方から声をかけていただいて、思いを持って売ってくださると、お客様も手にとってくれます。つくればつくっただけ出ていくから、がんばってつくればもっと売れるんだけど・・・。」

4人のお子さんを子育て中の飯塚さんは、家庭の台所も預かりながら「仕事はモチベーションが下がらない程度に」と、等身大のものづくりを続けています。

仕入れ×ひらめき=ビン food

パッションフルーツは近所の障がい者就労支援施設エール、ドラゴンフルーツはセルプセンターから。 定番商品の黒糖ジンジャーシロップは、宮古島でおじいちゃんが釜で炊いた無農薬黒糖と、人づてに探し当てた無農薬生姜で。生姜の農家さんから「たまねぎ採れたよ」「じゃがいも採れたよ」と連絡が入れば、旬のときにたくさん買っておくそう。ミジュン(アンチョビ)の時期になると読谷の都屋漁港に毎日電話をし、「ある」と言われたら買いに行きます。

「最近は、桑の実がたくさんなったので、末っ子に1g1円で桑の実摘みのアルバイトをさせたんです。うっかり一晩、外に置きっ放したら、全部鳥に食べられちゃって泣いていました」と、微笑ましいエピソードも。大量に採れて困った農家さんから仕入れた食材を使い、たった1回30瓶だけという商品もつくったことがあるそうです。

もともと工学部出身で「熱電半導体」の研究者。材料を混ぜたり焼成したりしていた研究好きの飯塚さんは、「配合が決まるまでが楽しいんです。半導体は食べられないし直接売ることもできないから、最初からこっちやっとけばよかったと思う」と笑います。

身近な自然や生産者さんとのじかにつながり、旬にあわせて集めた素材を、ひらめきと研究熱心さを駆使してビン詰に仕立てる。そうしてできあがったラインナップは、アンチョビや豆板醤、スイートチリソースからラムネまで、バリエーション豊かで見ているだけでも楽しい。その豊かさは、沖縄の自然や人と人のつながりの豊かさそのもの、なのかもしれません。

Information

ビン food
住所 901-0612 沖縄県南城市玉城當山124
HP http://binfood.jp/
Map コチラ >>